フレットすり減っていませんか?ーマンドリン・ギターの大切なメンテナンスー

「フレット」とは指板に複数打ち込まれている金属の棒状のパーツのことで、マンドリンやギターなど、フレットがある楽器を総称して「フレット楽器」と呼ぶこともあります。

 

フレットがあれば、ピアノの鍵盤を押すように、楽に正確な音程で音を出すことができます。

※反対にバイオリン等のフレットがない楽器は指と耳の感覚だけで音程を取らなければならず、難易度が高いと言えます。

 

とても便利なフレットですが、実は楽器を弾くうえでは注意が必要になるポイントでもあります。今回はそんなフレットのメンテナンスについて、詳しく解説していきます!

 

【目次】

 

①フレットは消耗品

一見、金属製でとても頑丈に見えるフレットですが、実は長い目で見れば消耗品となります。何年も弾いていると左手の弦を押さえる力で徐々にすり減っていき、消耗してしまいます。

すり減るスピードには個人差があり、押さえる力が強い方や、頻繁に弾いている楽器ほどフレットの消耗スピードは速くなります。

早ければ新品の状態から1~2年ほどでも多少のメンテナンスが必要になる場合もあります。

 

フレットが減ると弦の下にへこみができます↓

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②フレットがすり減るとどうなるか

フレットが減り始めると、最初は半円状の断面だったのが、徐々に頂点が平らな台形の様な形に近づいてきます。そうなると弦を押さえたときにフレットと弦が触れる面積が大きくなり、音の余韻(=サステイン)が短くなったり、キンキンとした音色になったりします。

 

さらにフレットの消耗が進むと、ビリビリとした雑音が鳴ってしまったり、音が出なくなってしまうことも…

 

また、フレットは均等に減っていくわけではなく、頻繁に使うところほど減ります。

マンドリンではA線のロ―ポジション(5フレットあたりまで)、ギターでは3弦の2フレットなどが特に減りやすく、「特定の音を押さえた時だけビリついた雑音が鳴る」というのはフレットの消耗が原因の可能性が高いです。

 

「最近雑音が鳴りやすくなってきた」「音の伸びが悪くなってきた」という方はフレットのメンテナンスが必要かもしれません。

よく演奏される方ほど、フレットの状態には注意が必要です!

 

③フレットの修理方法

フレットが減ってしまい、演奏に支障をきたす場合は楽器店でのメンテナンスが必要になります。

ここではその方法を2つご紹介いたします!

 

〇フレット交換

その名の通り、減ってしまったフレットをすべて取り外し、新しいフレットに交換する修理です。

フレットを外した際に指板の反りも修正するので、ネックが反ってしまった楽器もこちらのご修理が必要になります。

使用頻度にもよりますが、マンドリンの場合は5~10年ほどでフレット交換を推奨するケースが多いです。

 

ネックやフレット周りはほとんど新品同様のコンディションになりますので、楽器の状態を良くしたい方には非常におすすめのご修理となっています!

 

〇フレットすり合わせ(フレット調整)

すり減ってしまったフレットを削り、高さや形状を整える修理方法です。

フレット交換に比べ、費用を抑えられ納期も短いのが何よりもメリット。

ただ、フレットを削って整えるので、ある程度フレットが残っていないと十分な効果を得られず実施ができないこともあります。

また、フレットすり合わせをするとフレットは小さくなってしまうため、繰り返し行うのは難しいご修理です。

 

最後に

頑丈に見えるフレットも、いつかは交換が必要になるもの。

フレットが減るのはたくさん弾いた証でもありますが、メンテナンスをすればさらに良い音で演奏をお楽しみいただけます。

楽器の音に少しでも違和感があれば、ぜひイケガクまでお気軽にご相談ください!

最後までお読みいただきありがとうございました!

 

ご修理メンテナンスについてのご案内はこちら↓

http://www.ikegaku.co.jp/repair.htm

 

筆者:名取 建